例えば、土地面積が50坪以下と小さく、
かつ敷地の南側に2階建ての家が建っている土地で
家を建てなければいけないとしたら、
あなたなら、どのようにお家を建てて欲しいと
住宅会社にご希望されますか?
出来るだけ敷地の南側に距離をとってもらい
一番南側に配置してもらいたいリビングに、
少しでも光が入ってきやすいようにしてもらいますか?
南からの光は諦めて、
東から光を取り込んでもらうようにしてもらいますか?
あるいは1階の窓から採れる光は諦めて、
リビングに吹抜けをつくって、
2階の窓から光を取り込むようにしてもらいますか?
おはようございます。
松本淳一です。
では今回は実際にあった一例を紹介いたします。
まさに先ほど言っていたような土地で、
土地面積が50坪と小さく、
かつ敷地の南側に2階建てのアパートが建っており、
パッと見た感じでは、
日照的に難がありそうな土地です。
またそれに加えて、
南に建っている家がワンルームアパートであるため、
人の出入りも激しく、
ワンルームであるがゆえに
人の入れ替わりも周期が早く、
防犯やプライバシー面も
充分に考えた間取りにしないと
安心して過ごしにくい家になってしまう・・・
という側面を持つ土地でした。
そのような条件の土地で、
提案したプランは、
敷地を最大限に有効活用した「平屋」のお家でした。
こちらのお家は、リビングダイニングキッチンを、
敷地の一番南ではなく、
敷地の一番北に配置させています。
そしてそのリビングダイニングキッチンの、
ちょうど真ん中に、
南に面して3.5mもの横幅がある窓を
設置しております。
このように設計することで、
南に建っているアパートから
より長く距離を取ることができ、
南からの日照をしっかり確保できるようになります。
また南につくった窓から見える景色は、
自分の家の部屋か、あるいは空だけで、
隣に建っているアパートは一切見えません。
なので南に建っているアパートから、
家の中を覗かれる心配が一切ないため、
丸見えを防ぐために
カーテンで窓を閉じる必要もなくなり、
光をたっぷりと室内に採り込めるだけじゃなく、
同時に安心して過ごしていただけるようにもなります。
いわばプライバシー性にも
優れているというわけです。
そしてリビングに差し込んでくる光は、
リビングだけにとどまらず、
家全体にさりげない明るさをもたらしてくれるという
嬉しい効果ももたらしてくれます。
このような敷地の場合、
南に建っている建物の影になるところに
配置せざるを得ない部屋は、
南側にどれだけ大きな窓をとったとしても、
光が入ってくることはありません。
なので、”中庭” の外壁や、室内の壁に
当たった光を反射させ拡散するということで、
家全体に光を届けるようにするという
工夫を施してあげる必要があります。
だからこそ、外壁材はもちろん
室内の壁やドアなどにも ”白” を使い、
より光を反射・拡散させやすくしている
というわけです。
南側に家が建っている土地は、
一見、日当たりが悪そうに感じてしまい、
誰もが敬遠してしまう土地だと思います。
しかし、もっと間取りについて
柔軟に考えることが出来るようになれば、
むしろ土地が持つ悪い条件を逆手にとって、
より暮らしやすい家をつくることが出来るのもまた、
家づくりの楽しいところであり醍醐味です。
またこのような条件の悪い土地は、
そもそも価格設定が安くされているし、
さらに価格交渉もしやすいことから、
家づくりの予算を
大幅に圧縮しやすい土地だったりします。
さらにこの土地に、
無駄な余白をつくることなく
家を建てることが出来れば、
余分な外構工事費用だって、
大幅に圧縮することも出来ます。
ということで
「日当たりが悪い土地=暗い家になる」
という思い込みは、
一度捨てて頂ければと思います。
どんな土地でも、
明るくて住みやすい家をつくることが出来ることこそが、
注文住宅・自由設計の良いところですから、
ぜひじっくり考えてみたください。